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【密着】京都・洛中唯一の酒蔵「佐々木酒造」の季節限定「早朝見学ツアー」に潜入! 予約方法・見どころを徹底解説

京都駅から少し離れた京都市内中心部、いわゆる「洛中」エリア。かつて130軒以上の酒蔵がひしめき合ったこの地で、今もなお暖簾を守り続ける唯一の酒蔵「佐々木酒造」では、毎年9月から3月にかけて「酒仕込み早朝見学ツアー」が開催されています。今回SAKEMAPでは、実際のツアーに潜入! 一般の観光では決して立ち入ることができない熱気あふれる仕込み現場の様子や、実際に体験してわかった見どころ、絶品の試飲レビュー、そして気になる予約方法や注意点まで徹底解説します!

京都・洛中唯一の酒蔵「佐々木酒造」とは?

伝統的な日本の酒造り会社の外観。木製のドアと看板が特徴的で、玄関の上に飾られた丸い装飾が目を引く。

明治26年(1893年)に創立された佐々木酒造は、京都市上京区に蔵を構える歴史ある酒蔵です。俳優・佐々木蔵之介さんのご実家としても広く知られており、現在は三兄弟の三男である代表取締役社長・佐々木晃氏が家業を継がれています。清酒やリキュールの製造販売はもちろん、今回参加したような「酒蔵ツーリズム」にも注力。従業員数は「25名(ネコ含む)※ネコはリモートワーク中」とされており、伝統の中にもユーモアと親しみやすさが溢れる社風が魅力です。

代表銘柄には、千利休が茶の湯に用いたと伝わる名水「銀明水」で仕込んだ稀代の名酒「聚楽第(じゅらくだい)」をはじめ、昭和の文豪・川端康成が「この酒の風味こそ京都の味」と愛した「古都」、京都のわらべうたに由来する「まるたけえびす」などがあり、千年の都が育んだ技と味を伝承しています。

佐々木酒造が建つのは、かつて豊臣秀吉が威勢を示した「聚楽第」の南端にあたる場所。当時は武家屋敷が立ち並び、街中(洛中)には130軒以上の酒蔵があったと言われています。座学からスタートした今回のツアーでは、この地でこれほどまでに酒造りが発展した理由や、現在は佐々木酒造ただ1軒のみになってしまった意外な裏話など、さまざまなお話を聞かせて頂きました。

早朝7時スタート!  座学で知る「酒造りの裏話」

酒造会社のプレゼンテーションを受ける参加者たち。テーブル上には水のボトルや資料が置かれている。

まだ冷たい空気が張り詰める朝7時。薄暗い酒蔵内で受付を済ませて2階に上がると、20名ほどのツアー参加者が集まっていました。

黒いレザーの上に置かれたオレンジ色のデバイスとイヤフォンのセット。

参加者には見学時に着用する衛生用のエプロンとキャップ、靴カバーのほか、機械音が響く蔵の中でもガイドさんの解説がしっかり聞こえるようにするためのイヤホンガイド、パンフレットなどが配布されます。それらを装着して準備ができたら、まずは座学からツアーがスタート。酒造りの基本的な工程はもちろん、京都の地形や日本酒の歴史についても学びます。

琵琶湖に匹敵する水量!? 「京都水盆」が育む豊かな名水

京都水盆。色彩豊かな地形の3Dモデル。水平線上に西から東への変化が描かれ、立体的な谷間が表現されている。
京都水盆のイメージ画像

京都で日本酒といえば「伏見」のイメージが強いですが、実は酒造りの要となる「水」の豊富さが、ここ洛中での酒造りを支えてきました。京都は三方を山に囲まれた盆地になっており、それぞれの山の岩盤を伝って地中に潜り込んだ水が、巨大な「水瓶(みずがめ)」のように地下に溜まっていきます。通常なら地下水はそのまま海へ流れますが、京都盆地は水が出ていく出口が南西に一本あるだけなので、水が少しずつしか流れていきません。そのため水資源が非常に豊富で、この「京都水盆」と呼ばれる地下水脈には琵琶湖と同等の水量が蓄えられているとも言われています。 佐々木酒造では、この上質で豊富な地下水(千利休が茶の湯に使ったとされる「銀明水」と同じ水脈の中硬水)を汲み上げ、洗米から仕込みに至るまで全ての工程に惜しみなく使用しているそうです

洛中唯一になった意外な理由

かつては現在の酒どころ・伏見よりも酒蔵の数や生産量が多かったという「洛中エリア」
。それほど栄えていたにもかかわらず、なぜ現在は佐々木酒造1軒のみになってしまったのでしょう。衰退してしまったのかと思いきや、そこには驚きの理由がありました。

「どんどん儲かって会社を大きくしようとした酒蔵さんたちが、より広い土地と水を求めて、郊外の伏見へと引っ越していったんです。うちは儲かっていなかったから、この場所に引っ越さずに残るしかなかったと言われているんですよ(笑)

案内人の方のユーモアあふれる語り口に、ドッと笑いが起こります。この土地に残り続けた理由を冗談めかしてお話されていましたが、これが結果として洛中で伝統の味を守り続ける唯一の存在へと繋がったのです。和やかな雰囲気の中、酒造りの歴史的背景や工程についての説明を一通り受けます。そして、いよいよ蔵の内部へと足を踏み入れます!

五感で堪能! 酒仕込み現場に潜入

道を歩いている人々が、伝統的な衣装を着て和風の店内に入ろうとしている様子

「蔵の中は、この扉1つだけで仕切られてるんですよ。ここから香り、空気、温度が変わります」と案内された通り、扉を開けた瞬間、甘く芳醇なお米の香りと熱気に包まれました。ここからは、同ツアーの見どころを体験ルートに沿ってご紹介します。

蒸したてのお米を体感!  甘い香りと「放冷機」の躍動感

黄色いバケツが積まれた台の上に、竹のマットが置かれている様子。

まず案内されたのは、洗米とお米を蒸すエリアです。佐々木酒造では地下15メートルから汲み上げた井戸水を使って、1日に約900kgものお米を洗っているそうです。 驚いたのは、洗ったお米に水を吸わせる「吸水」の工程です。「洗うことよりも、水を吸わせる方がすごく重要」とのことで、その日の気温や水温に合わせて秒単位で時間を管理しているという徹底ぶり!

蒸気が立ち上る酒造りの現場で、参加者たちが興味深く見守っている様子。

そして、この早朝ツアーならではの貴重な体験が、まさに「蒸したてのお米」を間近で体感できること。大きな「甑(こしき)」からは真っ白な蒸気が立ち上り、あたり一面に炊きたてのお米の甘く芳醇な香りが充満しています。

蒸気が立ち上る工場内で作業する人々。中央に大きな鍋があり、その上に網状のカバーが設置されている。

蒸し上がったばかりのツヤツヤのお米は、巨大なクレーンで豪快に吊り上げられて「放冷機(ほうれいき)」へと運ばれていきます。

白いご飯が山のように積まれたコンテナの内部

実際に稼働している放冷機を見たのは、日々全国の酒蔵を取材しているSAKEMAP編集部のメンバーも初めて。熱気を帯びたお米がベルトコンベアーに流され、機械の風でパラパラと飛ばされながら冷まされていく光景は非常に貴重です。

階段付近で作業する伝統的な衣装を着た女性と暗い空間にある大きなタンク

冷まされたお米はチューブの中を空気で輸送され、2階のタンクへと運ばれていきます。

青い火花が走る!? ドキドキの「櫂(かい)入れ」体験

作業場で作業している人々の様子。複数の作業者が青いコンテナに物を運んでいる。

急な階段を上って蔵の奥へ進むと、いよいよツアー最大の見せ場「櫂(かい)入れ」体験です。 櫂入れとは、長い「櫂棒(かいぼう)」を使ってタンクの中身をかき混ぜる、日本酒の仕込みの一環となる作業です。

作業中の人々が、白い防護服を着て作業台で活動している様子。

かき混ぜるといっても、仕込みタンクの中には水と麹、そして蒸し米が大量に入っているので、櫂棒は想像以上に重く、全身の力を使う大変な作業です。さらに、この日の作業が「留仕込み(とめじこみ)」だったこともあり、とくに重たい状態での櫂入れ体験となりました。

日本酒は通常、発酵を安定させるために水や麹、蒸し米を3回に分けてタンクに投入する「三段仕込み」という手法がとられます。その3回目、つまり最後の仕込み工程を「留仕込み」と呼び、一番多くお米が入っている状態でタンクの中身をかき混ぜることになります。ですから、留仕込みの櫂入れは櫂棒の重みもひとしおなのです

作業場で作業員が集まっている様子。数人が白い作業着を着ており、何かを観察したり作業したりしている。

参加者は一人ずつ順番に、櫂入れを行います。「お米を潰すのではなく、底から引き上げるように」というアドバイスのもと、重い櫂棒を動かします。時折「バチバチッ!」という音とともに、薄暗いタンクの中に青い光が走ります。お米同士が擦れ合うことで発生する静電気です。職人さんたちが毎日この過酷な環境で、いかに大変な作業をされているか、身をもって体感することができました

青リンゴにバナナ? 「酵母」が織りなす香りの魔法

米を見守るグループの人々。全員白い作業着と黒いキャップを着用し、米の入った大きな鍋の周りに集まっている。

力仕事のあとは、「酒母(しゅぼ)」と呼ばれるお酒の「もと」を見せて頂きました。タンクの中を覗いてみると、ぷくぷくと無数の小さな泡が立ち上っています。これは、水と蒸し米、麹、そして「酵母」が混ざり合い、元気に発酵が進んでいる証拠です。この部屋で約8日間かけてアルコールを生み出す酵母を大量に増殖させることで、まさに文字通りお酒の母となる「酒母(酛 )」が造られるのです。

大きな鍋の中に泡立った液体が見える

酵母の種類によって生み出される香りは異なり、あるタンクからは「青リンゴ」のような爽やかな香り、別のタンクからは「バナナ」のような甘くフルーティーな香りが漂います。ぷくぷくと弾ける泡の音と甘い香りから、目に見えない微生物たちが確実にこの場所で生き、お酒に魔法をかけている瞬間を五感で味わうことができました

ハシゴに登ってタンクを覗き込む

酒造りの工房で体験学習を受けている参加者たち

続いて、大きな仕込みタンクが並ぶエリアを見学します。ここではハシゴに登って、実際に発酵中のタンクの中を覗き込ませてもらいました。

タンクに登っている作業員と周囲の人々がいる醸造所の内部の写真

杜氏さんは、こうしてタンクを覗き込み、泡の出具合を見ただけで『今はアルコールがこれくらい出ている』『お米がどれくらい溶けている』と、もろみの状態を感覚で把握できるそうです。先ほどの酒母よりもさらにダイナミックに発酵が進む様子を上から見下ろすのは、まさに現場ならではの貴重な体験です。

工場内の大型ステンレス機械とその周辺の設備。機械の一部はプラスチックで覆われている。

その後は、上槽(搾り)の工程を見学。佐々木酒造では、自動圧搾機のほかに最新鋭の「遠心分離機」が使用されています。1台2000万円もするというこの機械は、日本全国の酒蔵でも十数台しか導入されていない非常に珍しいものとのこと。1分間に2000回転という遠心力を使って、圧力をかけずに「お酒」と「もろみ(酒粕)」を分離させる機械で、これによって雑味のない最高級の純米大吟醸を抽出しているそうです。伝統的な職人の感覚を大切にしながらも、最新技術を活かして究極の味を追求する酒造りへの深いこだわりが感じられました。

ラベルを貼ってオリジナルのお土産づくり

人がテーブルの上に置かれた瓶を指さしている様子。瓶はラベルが付いており、他の物が背景に見える。

見学の終盤では、ボトルにラベルを貼る作業に挑戦します。ポイントは「 ボトルを入れる化粧箱の窓からお酒のラベルがすべて見える位置に貼る」こと。

工房で働く人々が製品を手に取り、作業をしている様子。

やり直しがきかないワンチャンスの一発勝負ですが、こういった一つひとつの作業も実際にやってみるとなかなか難しく、毎日何百本ものボトルを仕上げているプロの職人技のすごさを実感します。自らの手でラベルを貼ったボトルは、お土産として持ち帰ることができるので特別な思い出になります

試飲で学ぶ「磨き」と「酵母」の奥深さ

会議室でプレゼンテーションを受ける参加者たち。人数は約15人で、教科書や飲み物が並んでいるテーブルを見ることができる。

約90分の熱気あふれる蔵見学を終えると、お待ちかねの試飲タイムです。朝の8時半から日本酒を味わえるというのも、早朝ツアーならではの特別な贅沢

京の酒のボトルと、グラスに注がれた酒、箸、和菓子が置かれたテーブルの上の様子

今回は、特徴がはっきり異なる3種類の日本酒と、こだわりの甘酒を飲み比べながら日本酒の奥深さを解説して頂きました。

【1杯目】聚楽第 純米大吟醸:40%磨きが魅せる極上のすっきり感
佐々木酒造の看板商品「聚楽第 純米大吟醸」。酒米の王様と呼ばれる「山田錦」を40%まで磨き上げた贅沢な一本です。 酵母には「協会1801号(泡なし酵母)」が使用されており、グラスを近づけると青リンゴのような華やかな吟醸香が鼻を抜けます。一口飲むと、アルコール度数は16度と高めであるにもかかわらず、驚くほどスッキリとしていてフルーティー。精米歩合がもたらす効果を舌でダイレクトに実感できました。

【2杯目】西陣 特別純米(しぼりたて):米と酵母の違いを味わう
新酒「西陣 特別純米(しぼりたて生)」。「五百万石」と「京の輝き」の2種類のお米が使用された純米酒で、精米歩合は50%。酵母には京都のオリジナル酵母「京の琴」が使われています。アルコール度数は17度とさらに高く、新酒ならではのフレッシュな旨みが口いっぱいに広がります。お米と酵母が変わるだけで、味も香りも全く別物に変化するという日本酒の面白さを鮮明に感じることができました。

【3杯目】古都 しぼりたて:「アル添」の誤解を解く
精米歩合75%のお米と「協会701号」酵母を使ったお酒。香りを嗅ぐと、まるで「熟したバナナ」のような甘い香り(酢酸イソアミル)が漂います。1・2杯目との大きな違いは、「純米か、純米じゃない(アルコール添加)か」という点です。

「醸造アルコールを添加する」と聞くと、なんとなくネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、実は全国新酒鑑評会で賞を取るようなお酒のほとんどはアルコール添加酒なのだそう。「アルコールを足すことで、酵母が持つ香りがより引き立ち、味わいがすっきりとキレるようになります」という解説の通り、75%とあまりお米を削っていないにもかかわらず、重たさを感じさせない軽快な飲み口に仕上がっていました。アル添のポジティブな役割を知ることで、日本酒選びの幅がさらに広がりそうです。

【4杯目】福実鳥の甘酒:山田錦の「米麹甘酒」
お酒が飲めない方や20歳未満の方に用意されている「甘酒」。 昔ながらの酒粕にお湯と砂糖を溶かしたものではなく、山田錦の「米麹」だけを使って発酵させた完全ノンアルコール。砂糖を一切使っていないにもかかわらず、まるでキャラメルのような濃厚なコクと甘みがあり、冷えた身体にじんわりと染み渡ります。着色料や保存料も不使用ですが、熱を加える(火入れ)際のメイラード反応によってほんのりと優しい琥珀色に色づいているのも特徴です。「飲む点滴」とも呼ばれる自然の甘みは、まさに至福の一杯でした。

日本酒に込められた物語を知る感動体験

日本酒の棚を前にして説明している男性

佐々木酒造では、蔵のあちこちや商品ラベルに可愛らしい「猫」が描かれています。 「実は夏場の静かな蔵で野良猫が子猫を産みまして。社長が保護し、入社16年目になるネコ社員が3匹いるんです」と、ほっこりする裏話も教えてくれました。こうした伝統の中にあるアットホームな空気感も、佐々木酒造が愛され続ける理由なのだと感じました。

「酒仕込み早朝見学ツアー」は、単なる工場見学ではなく、日本酒という芸術品がどのように命を吹き込まれていくのかを五感で味わえる極上のエンターテインメントでした。普段何気なく飲んでいる日本酒がどのように造られているのか、その背景を知って味わう一杯は今までとは全く違う感動を与えてくれるはずです。

ちなみに、酒造りが行われない夏場には、蔵の見学に加えて「お弁当を食べながら社長(佐々木晃氏)から直接お酒や蔵の話(時にはお兄さんである佐々木蔵之介さんのお話も!?)が聞ける夜の特別プラン」なども開催されるそうです。京都旅行の特別な思い出に、あるいは日本酒の知識を深める大人の学びの場として、洛中唯一の酒蔵へぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

佐々木酒造「酒仕込み早朝見学ツアー」基本情報

見学ツアーの基本情報と注意事項をまとめました。予約時や訪問前には、公式サイトでも最新の情報を事前によく確認してから参加するようにしましょう。

【基本情報】
開催時期:毎年9月~3月頃の指定日(季節限定)
開催時間:7:10~8:40(所要時間 約90分)※6:50頃より店舗レジにて受付開始
体験内容:酒仕込み現場の見学、日本酒の試飲(少量)
特典:参加者には特別なお土産として日本酒1本(300ml)が付きます
予約方法:佐々木酒造公式サイトのツーリズム情報ページより、予約サイト(TIGET)経由で要事前予約

【注意事項】
納豆・発酵食品NG:納豆菌は酒造りの命である「麹菌」に悪影響を与えてしまうため、見学の前日と当日は納豆や発酵食品を絶対に食べないでください
香水NG:繊細な日本酒の香りがわからなくなってしまうため、香りの強い香水やヘアケア剤、柔軟剤の使用はお控えください。
服装:ボア素材など繊維が剥離しやすいお洋服はNGです。また、急な階段や段差があるため、歩きやすい靴での参加をおすすめします。
※20歳未満の方も参加可能ですが、試飲は甘酒の提供となります

【佐々木酒造株式会社】
所在地:京都府京都市上京区北伊勢屋町727
代表銘柄:聚楽第
公式サイト:https://www.jurakudai.com/

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