1726(享保11)年に兵庫県香住で創業し、江戸時代後期に京都へ移転した京都市内に残る最古の酒蔵。大正時代には現在の吉田の地へ移り酒造りを続けていたが、昭和後期に周辺の地下工事の影響で水質が変化し、一時は休蔵を余儀なくされる。しかし、「もう一度この地で酒造りを」という蔵元(14代目)の強い想いから、2009年に奇跡の復活を遂げる。以前よりも深い地下50mから酒造りに適した良質な軟水を汲み上げる新しい井戸を掘り、市街地の「マンションの1階」という限られたスペースで酒蔵を再建。一度途絶えかけた歴史を乗り越え、現在は相国寺や金閣寺といった名だたる寺社仏閣の御神酒も手がけるなど、京都の地で確かな存在感を放っている。
蔵の風景
蔵の歴史・ストーリー
酒造りの特徴
わずか40坪というコンパクトな蔵には、ピカピカのサーマルタンクが並び、空調設備によって四季醸造(一年を通した酒造り)を可能にしています。 松井酒造の最大の特徴は、「品質を高める部分だけに機械を使う」という合理的な哲学。発酵中の温度は機械によって0.1℃単位で24時間精密にコントロールする一方で、蒸し米の運搬や仕込みなど品質に関わる重要な工程は、あえて人の手で行われています。さらに、使用する電力の約60%を太陽光発電でまかなうなど、サステナブルな環境づくりも実践されています。現場ではアメリカ出身の蔵人を含む若手スタッフが活躍しており、古い慣習にとらわれない柔軟でグローバルなチーム編成で「伝統と革新」が融合した酒造りが行われています。
代表銘柄・おすすめのお酒(味わい)
純米大吟醸 神蔵KAGURA 無濾過・無加水・生酒(白)
広がる芳香と幾通りもの表情で魅せる米の旨み
甘酸辛苦渋の味わいが口中に複雑にあらわれ、それでいて香り高く柔らか。微かに舌に感じる酸味が次の一献へと導き、体に沁み入るように米の旨みが広がります。一切ろ過を行わず、瓶詰めのタイミングによっては米の成分が瓶内に留まることも。生酒は活きた酵母の躍動感がそのまま舌に伝わります。
